なみえの今

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権現堂地区 消毒散布・ごみ拾い活動を実施

2023年6月7日

こんにちは、地域づくり支援専門員の東です。

権現堂地区で震災前から長年取り組まれている消毒散布作業が、5月16日、17日の2日間で行われました。

この活動は、春と秋の年2回、ハエや蚊などの駆除を目的に実施しているものです。

作業は2チームに分かれて権現堂1区から8区までくまなく歩いて散布します。手が空いている人はごみ拾いもあわせて行いました。

▲電動噴射機を押しながら役場を出発

権現堂地区の区長や有志の方に加え、日産自動車、UR都市機構、東京電力、なみえプロモーション課といった地域に関わるの皆さんがお手伝いされました。

側溝、水路、草むら、ごみステーションなど、虫が発生する可能性があるところには徹底的に消毒散布を行います。

▲イオンの裏側からスタート
▲草むらにも果敢に入ります
▲側溝内は念入りに散布しました

初めて参加した方には、ベテランの方が丁寧に噴射機の使用方法について説明したり、「こうしたほうがいいよ」などとアドバイスをしたりする様子も見られました。次世代へバトンをつなぐということの一端を垣間見ることができたように思います。

浪江町に移住され、今回初参加となった方は、「とても良い経験でした、また参加したいです」とおっしゃっていました。

▲協力して給油します

ごみ拾いはというと、2日間で10袋以上になりました。

草むらに投げ捨てられたごみは茂みに隠れているため、実際に足を踏み入れてみて想像以上にごみが多く驚きました。

▲袋いっぱいのごみ

地域を歩いてまわることがなかなかないので、地域の現状を知るよい機会となりました。

ぜひ皆さんも地域の一員としてお手伝いしてみませんか。次回は9月に実施予定です。

室原で13年ぶりの田植え

2023年5月11日

こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。

大型連休中、全国的にも田植えの様子がニュースなどでも紹介されていましたが、浪江町でも水が張られキラキラ光っている田んぼ、そして田植えに取り組む様子が各地区で見られました。


3月31日に避難指示が解除された特定復興再生拠点の室原地区でも、原発事故以来13年ぶりとなる田植えが5月5日におこなわれました。

復興組合の高田秀光会長に予定などをうかがった時には「声をかけたけど何人来てくれるかなあ…みんなまだ避難先で暮らしている状況だからね。10人ぐらい来てくれればうれしいなあ」などとおっしゃっていましたが、作付けする田んぼの前にはおおぜいの方が集まっていました。復興組合の方23人と、そのご家族なども集って30名以上の皆さんがわいわいと、13年ぶりに始まる田植えを前に談笑などされていました。

▲田んぼの畔(あぜ)に座って談笑


始まる前にはあらためて高田さんがご挨拶。「13年ぶりの田植えになる、昔を思い出して作業をしたい」などとおっしゃいました。

実は室原地区のほとんどの田に農業用水を供給している水路は、ずっと帰還困難区域だったこともあり、まだ復旧が進んでおらず水が来ていないということでした。今回田植えをした田んぼは、隣の加倉へとつながる別の水路から水が来ている田んぼだということです。面積としては8畝(800平米)ほどの田ですが、協力して苗を田植え機に積む作業や、田植え機で苗が植えられていく様子を見つめる姿などから、コメづくりの最初の一歩への期待が感じられました。

▲水を排水する水路周りの草刈りも、重要な仕事です
▲お孫さん達は初めての体験です


作業は1時間ほどで終了。田んぼを管理する役割の吉田公明さんは「無事に終わって良かった。担い手の高齢化もあるが、若い人でやりたいという人がいれば協力したい。今日は孫たちも手伝ってくれた。避難指示解除で子ども達も来られるようになったのはうれしい」などと感想を話しました。

室原行政区の小澤晴久区長は復活した水田を前に「うれしいことだよね」と感想をひとこと。「これを機に、室原に帰還しようと思う人が増えて、震災前のような地域になればよいなあと思っている」などと話していました。

室原地区では今回の試験栽培、来年の実証栽培を経て、やっと再来年から出荷を目的とした本格的な営農が再開されていく予定です。

困難の中、コメづくりが生み出す人と人とのつながりにも、期待していきたいです。




津島で春のお彼岸時期に合わせた休憩所を実施

2023年3月24日

こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。

津島住宅団地の完成式が明けた3月19日と21日の2日間、春のお彼岸時期に合わせた休憩所をつしま活性化センター会議室で実施しました。

昨年9月に初めて津島でお墓参り休憩所を実施した際は、つしま活性化センターが一部修繕中で利用できず向かいの消防屯所をお借りして実施したため、今回初めての開催場所となりました。

加えて、窓を開け隣を見ると住宅団地も完成していることで、昨秋とはだいぶ違う雰囲気を感じました。

▲気温の上がった21日は、屋外にも席をつくってみました


今回は日曜日と祝日の火曜日に実施することもあり、お墓参りでいらっしゃる方を含めて多くの住民の皆さんに休憩所として、出会い・再会の場を提供できればと準備を進めました。

大規模な周知はできなかったものの、屋外の仮設トイレの利用等で活性化センターに入ってくる車も多く、お声がけすると休憩所に立ち寄られる方もいらっしゃいました。


親しい間柄ではあるものの休憩所に立ち寄ったことで久しぶりに会った、という方もいらっしゃいました。別の方々は「どこに避難したかわからないままだったので、ここで会えてよかった」などと原発事故以来の再会に感激する様子も見受けられました。

また、津島住宅団地が完成したという報道を見て、入居した知り合いに会えるかと立ち寄った方もいらっしゃいました。


昨秋の休憩所同様に、利用される方の話題になればと、以前写真展をした際のパネルも展示。
ご高齢の利用者の方からは「懐かしいなあ」、復活した民俗芸能の団体に所属している方からは「自分が写っている。いいものを飾ってもらえたなあ」などの声がありました。



昨秋は台風の影響もあり、利用者がほぼいないまま終えた休憩所でしたが、今回は各日数名程度の利用があり、写真展を覗いて帰る方などを含めれば両日あわせて20名ぐらいの方に立ち寄っていただけました。

まだまだ数を見ただけでは少ないかもしれませんが、特定復興再生拠点の避難指示がいよいよ解除される津島地区においてこのような場をつくっていけるのだと、手ごたえを感じた日となりました。



今後も皆さんがつながっていける場を試行錯誤しながら取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

なお、つしま活性化センターは休日(土日祝)も一時立ち入り時のトイレ休憩などにご利用いただけます。屋外設置の仮設トイレをご利用される方も多いようですが、開館中は屋内のトイレをご利用いただけます。
休日の開館時間は8時30分から17時までとなっています。
(※年末年始の閉庁日は閉館となります)

また事前予約申請で会議室や多目的ホールの利用も出来ますので、必要があれば浪江町役場津島支所(0240-36-2111)まで問い合わせてみてください。


津島の住宅団地が完成、入居者が交流

2023年3月23日

こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。

3月31日に津島地区の特定復興再生拠点が避難指示解除されるのを前に、津島地区の災害公営住宅が完成し、18日に完成式が開かれました。
平年よりも高い気温で暖かい日が続いていましたがこの日はぐっと冷え込み、津島が近くなってくると雨も雪に変わり、町なかとの気候の違いをあらためて感じる日となりました。

完成式には入居を予定している住民と吉田栄光町長ら町の関係者、津島地区の行政区長などが出席しました。



吉田町長は式辞で「津島は結(ゆい)の助け合いがあり、豊かに暮らしていた地域。必ず白地地区を含めた津島を復興させる」などと力強く述べました。



住宅は町役場津島支所(つしま活性化センター)の隣に造られ、2LDKと3LDKの木造平屋建てが合わせて10戸となっています。



完成式と入居者説明会の間のお昼の時間をいただいて、当事業では入居者の顔合わせと交流の機会としてちょっとしたお茶の席を設けました。避難指示の解除に向けてつしま活性化センターが利用できるようになったことでこのような場づくりができるのは、当事業にとっても感慨深いことです。

完成式後に残っていただいた一部の区長らも加わりましたが、皆さん以前からお知り合いだったので、特にかしこまって仕切る必要もないまま、ざっくばらんに、ほのぼのとした会話が飛び交いました。

「引っ越しはいつするの?」「もし農作業とかやりたかったら、うちの畑を自由に使っていいぞ」「○○さんは元気にしている?」など親しい間ならではのやり取りをされていました。



入居された方のひとりは「元々住まいは拠点外で帰還はまだできないけど、もう住めないとあきらめるのではなく、できることを頑張っていきたい」などと話していました。


特定復興再生拠点として津島地区で避難指示解除される区域は、津島全体のわずか1.6%であり、まだまだ困難な状況は続きますが、ここから少しずつ、津島にも変化が出て復興も進んで行くことを願います。





2023年 請戸 安波祭

2023年2月28日

こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。今回は今野と引地の2名でお伝えします。

2月19日(日)、請戸地区の苕野(くさの)神社で安波祭が開かれました。
新型コロナウイルスの影響で昨年、一昨年と規模を縮小し関係者で神事のみを執り行う形で続けてきましたが、今年は雅楽・神楽・田植踊が3年ぶりに奉納されました。

盛り土で固められ造成中となっている神社の再建場所の奥、津波でほとんどが流された本来の場所で祭りが開かれるのも、今年が最後となります。
雨が危ぶまれましたがほぼ曇り空で済んだこの日、会場には請戸の方や安波祭を楽しみにしていた方々が大勢集まり、神事や神楽、田植踊の奉納などが執り行われました。

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苕野神社の氏子総代長を務めている五十嵐光雄さんは終了後に一言、
「今日まで紆余曲折があったが、漁師らから『海で働く人間にとって苕野神社が励みになる』と言われた。来年は立派な苕野神社が建立される。安波祭は続くのでよろしくお願いします」

などと想いを述べました。



地域づくり支援専門員の引地です。ここからは田植踊の様子をお伝えします。

今回新たに4歳と6歳の踊り手が加わり、練習の成果を発揮していました。


震災前は神社での奉納だけではなく『村まわり』として請戸地区内の家々をまわり、踊りを披露していた請戸の田植踊。

そして今年は「少しでも前の姿に戻そう」と以前のように村まわりが再開されたのです。

神社奉納の後に、請戸のかつての商店街があった場所、新たな災害公営住宅の請戸住宅団地、幾世橋住宅団地の3か所をまわりました。

▲請戸の大黒屋さん近辺
▲幾世橋住宅団地集会所前

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請戸住宅団地と幾世橋住宅団地には、もともと請戸に住んでいた方も多くいらっしゃいます。 住民の皆さんには自治会長を通し事前にお知らせしており、踊り手の到着に合わせ皆さんが集まりだしました。

「大きくなったことー!」「久しぶりだなー」という声が響き、請戸の子どもたちの成長した姿に笑顔になる人、踊り手の父兄の皆さんとの再会に喜ぶ人、そんな場面がとても印象的でした。

▲請戸住宅団地



そして踊りに欠かせない唄やお囃子。今回は今まで踊り手だった18歳の女の子が初めて歌い手に加わりました。 長年唄っていたお二人と共に神社で唄い、本当に緊張したと思いますが立派に唄いきりました。

3人で唄う姿、そして背中から支える手。リズムや節をとるだけではなく、しっかりとした愛情が伝わってくる手。
これこそが継承への姿なのだと感じました。




神楽奉納では「今回で笛の吹き納めだ」と話し、後進に託すという前請戸芸能保存会会長の姿もありました。


長い歴史で継承を繰り返し、続いている地域の祭りや民俗芸能。その長い歴史のなかでも東日本大震災という今も続く大きな困難のなか、「つなぐ」ことに尽力されている関係者の皆さまの姿をしっかりと胸に刻みたいと、この請戸の安波祭を通し実感しました。

いよいよ来年は再建される新しい苕野神社での安波祭。盛大に執り行われることでしょう。
踊り手の成長した姿もとても楽しみです。


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