なみえの今

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赤宇木の田植踊り発表会

2019年12月2日

11月17日、浪江町津島の赤宇木(あこうぎ)地区に古くから伝わる「赤宇木の田植踊り」が東日本大震災と原発事故後、初めて披露されました。

前回の披露は平成20年の2月に津島の活性化センターだったということで、およそ11年ぶりの田植踊りとなりました。

復活へ向けては、福島県内の民俗芸能団体を支援するNPO“民俗芸能を継承するふくしまの会”の後押しも強く、福島県内外各地で避難生活を続けている赤宇木地区の皆さんが集まって、前日の16日は記録映像の撮影、この日は観客を入れての発表会を開きました。

(体の動きがわかるよう衣装ではなく普段着で、記録撮影を進めます)
(発表会ではまず「赤宇木の神楽」が披露されました)

以前ご紹介したように(「2019年2月 南津島の田植踊りが披露されました」)、津島地区には4つの田植踊りがありますが、それぞれ微妙に踊りも衣装も違うと聞きます。

(鍬頭~くわがしらの着付け)
(注目が集まる発表会での披露)

赤宇木では神楽、田植え踊りの役あわせて14人を赤宇木郷土芸術保存会のみなさんが担当し、この日に向けて練習を続けてきました。

赤宇木の区長で赤宇木芸術保存会の顧問を務める今野義人さんは「震災前から、地域の田植踊りを絶やしたくないと取り組んだ。原発事故で津島が帰還困難区域になり、散り散りに避難して復活は絶対に無理だと思っていたが、NPOの支援もあって、みんなでやってみようという気持ちになれた」などと話しました。


(子ども達も熱演)

踊りには赤宇木の若い世代や小学生も加わりました。

「ささら役の子ども達は初めて踊るし、避難先から集まっての練習も大変で、難しかった。もっと求めたい面もあるが、少ない練習でよくやれたと思う」と、現在保存会の会長を務める今野信明さんは話していました。


津島地区の4つの田植踊り、私も拝見するのは南津島に続き2団体目ですが、確かにそれぞれに違いがあるなあと感じることができました。
これは、それぞれの地域の個性と言えますし、できることなら一つ一つの踊りを残して行くことが理想である…そう感じたのは確かです。

(最後は和やかに記念撮影)

発表会の会場となったのは二本松市の男女共生センター研修ホール。

会場内の雰囲気がなんだかとても良くて、発表会までは緊張感もあるものの、親戚同士が集まっているような、座っていると不意に目の前にお漬物や果物がタッパーに入って「食べて」と出てくるような感じで(笑)、心地よい「ふるさと」の場になっていたような気がします。


記録撮影や本番の撮影など、ひととおりの作業が終わると皆さんほっとした様子でした。記録化したことで、いつの日か復活できるだろうと安堵感を持たれたのかと思います。
しかし、難しいとは思いますが、今後も定期的に披露する機会などを持っていただければ嬉しいなあと、そんな風に感じました。

またいつか、ぜひ観てみたいです。

地域づくり支援員、今野がお伝えしました。

浪江駅前の花植え

2019年11月30日

いよいよ師走。初雪も舞い、慌ただしい今日この頃。皆様、いかがお過ごしですか。地域づくり支援員の佐藤です。今回は、浪江駅前南側にある花壇での花植えに伺って参りました。

お花は、さくら草。茨城県にお住いで、千葉県の福島県人会会長・宮田和夫様から昨年に引き続き寄贈されたものです。宮田さんは福島県に非常に所縁のある方で、「日本は福島県が牽引しているんだ」との心強いお言葉とともに、苗を頂きました。

さて、11月30日(土)8時30分駅前集合。当日の作業は、日産自動車の社員の皆さんが、草刈と花植えに分れ、ボランティアで参加してくださいました。花植えは、総勢20名程。

参加してくださったボランティアの皆さんは、道具を駆使しして楽しそうに作業をされておられました。

吉田町長からのご挨拶
花植えチーム打ち合わせ
まず、初夏に植えたお花と唐辛子を引っこ抜き、ゴミ袋へ。
スコップで畝ります。なかなかお上手!
権現堂1区・佐藤区長に、植え方をご教示頂き丁寧に作業進行。
ざっと1時間ほどの作業で、4花壇分、約160株の花植え終了。お見事!

皆さんの手際がよく、予定より早く終わった為、一斉に駅前の町道で草刈を開始。予定外のことでしたので、道具の準備もなく、手、スコップ、ショベル等、あらゆる工夫で刈ったり引っこ抜いたりしました。

突然の作業開始ながら、手際は抜群。
30分程の作業で、ゴミ袋20位が一杯に。
こんなにきれいになりました。素晴らしい!
2時間ものボランティア作業に感謝。はいチーズ。

令和元年も、いよいよ残り僅か。

宮田様からの苗の寄贈と日産自動車社員のボランティアの皆さんにによる花植え・草刈りで、浪江駅前はとても綺麗になりました。一寸早い大掃除。とても気分の良い時間を過ごすことが出来ました。ご協力いただいた皆様、本当に有難うございました。

大堀神楽(令和元年十日市祭)

2019年11月25日

今年も、後ひと月余りを残すのみとなりました。朝晩寒くなってきましたが、皆さま、いかがお過ごしですか。地域づくり支援員の佐藤です。

今回は、十日市祭の初日、11月23日に屋外ステージで披露された、大堀芸能保存会による大堀神楽を拝見させて頂きました。

<芸能保存会会長 最終打ち合わせ>
<本番前の緊張の様子>
< 町長、商工会長、大堀芸能保存会会長を前にご披露>

当日の大堀神楽の舞は、幕舞・剣舞・鈴舞・幕舞という流れです。

なかなか練習も出来ず、ぶっつけ本番と仰っておられましたが、舞そして笛太鼓ともに流麗で感動しました。保存会の皆様が一堂に会することが出来るのは、十日市祭だけだそうです。大変貴重な場面を拝見することができました。

< 獅子頭と幕  篤とご覧ください>
<大堀神楽は同地区にある愛宕神社を守護神として奉納されていました>
<剣舞>
<鈴舞>

伝承がなかなか難しいと言われている浪江町の伝統芸能。若返りが課題だというお話をよく伺います。そんな中、大堀芸能保存会は、震災前に引継ぎを済ませたことで伝承が叶い、そして現在に至っているそうです。

<保存会会員の皆様による笛太鼓>

また、来年の十日市祭の大堀神楽を楽しみにしています。お疲れ様でした、そして、素晴らしい神楽をご披露していただき本当に有難うございました。

<緊張もほぐれ、記念撮影>

それぞれの取り組み

2019年11月19日

こんにちは、まちづくりなみえ地域づくり支援員・苅野地区担当の石橋です。

10月26日(土)に酒田行政区、11月2日(土)に西台行政区でクリーン作戦が実施されました。

酒田        ―集合の様子―        西台

隣り合うこの二つの行政区は、今回のクリーン作戦実施にほんの少し新たな試みが加わりました。作業後の交流会の際に、自らが清掃を行った集会所や屯所を利用したのです。他の行政区の良い取り組みはどんどん取り入れていきたい、と仰る二人の区長の思いが、集会所や屯所の窓を開け、風を通すことにつながりました。

酒田行政区のクリーン作戦は、集まった方がみんな一緒に歩いてゴミを拾うという方式です。「人々の顔合わせの意味もあるから」と大越剛志区長。おしゃべりを楽しみながらご近所さんたちと散策をするにはもってこいの清々しい朝でした。

―酒田のクリーン作戦―

一方の西台行政区は、震災前と同じように5つの班に分かれてそれぞれの担当場所のごみを拾っていきます。「美化だけでなく、地域の確認の意味もあるから」と大倉満区長。皆さん、担当場所へ向かって歩みを進めます。そのうちの1班はゴミ拾いだけでなく花壇の草刈りも行いました。

―西台のクリーン作戦―

約1時間後、再び集合場所に集まってゴミを分別した後は交流会の始まりです。まず区長から皆さんを労う言葉があり、その後は行政区の今後の予定や課題の提起などの情報共有がおこなわれました。お茶を飲みながら様々な意見が交わされときに質問も飛び交うなど、有意義な時間となったようです。

酒田      ―交流会の様子―      西台

そしていよいよ集会所、及び屯所への誘(いざな)いです。今回、両行政区ともに写真の展示を行ってみました。

酒田行政区では、懐かしい写真を展示しました。二日前に掃除したばかりの集会所が解放・利用されるのは約9年ぶりです。架け替え前の酒田橋やみんなで草刈りをした掃部関の写真が、皆さんをおしゃべりにしたようです。交流会は長く続きました。

―酒田の写真展示の様子―

西台行政区が展示したのは、避難指示解除以降この行政区が行ってきた活動の記録です。「お彼岸休憩所」「花植え」「屯所清掃」。同時にそれらの活動に関して私たちまちづくりなみえが記したブログも印刷して展示されました。この日実施したクリーン作戦もやがてこうした記録の一部になってゆくのかもしれません。

―西台の写真展示の様子―

もともと同じ水路で繋がりあっていた酒田と西台。酒田が水を汚せば西台の水は濁り、西台が水路の管理を怠れば酒田の水が澱む―そのような位置関係から、自らの水路を管理することが互いの水を守ることでした。そして、「良いものは取り入れたい」と互いの取り組みを評価し倣(なら)っていく2つの行政区の姿には、水を守りあってきたお互いの在り様が垣間見えるような気がします。

この水路で繋がっていたのは酒田と西台だけではなくありませんでした。最上流に位置する苅宿を含む3行政区は、かつて「三大字地域資源保全会」として、水路を管理しその周りに花を植えていた地域だったのです。酒田と西台がクリーン作戦を実施した時期に、苅宿行政区が行った活動の写真も掲載させていただきます。

集会所に集まろう

2019年11月11日

こんにちは。まちづくりなみえ苅野地区担当の石橋です。今回は集会所の話題をお届けします。

近頃、苅野地区でお話をうかがうと「集会所」という言葉をよく耳にします。「やはり地元で集まる場所が必要だ」と仰る方が増えているのです。

10月24日、酒田行政区の集会所清掃が行われました。震災以来数年にわたり手つかずの状態で、避難指示が解除後は区長や役員たちが掃除をしてきたものの、「あまりきれいではないので今は使用していない」と言われていた場所です。

酒田集会所は熊野神社の境内にあり、敷地の入り口には鳥居が建っています。また古くはブランコが設置されていたなど、子どもたちにとっての遊び場でもありました。

清掃当日の24日は木曜日でしたが、「平日で人があまり集まらなくてもいいので、清掃を実施したい」という大越区長のお声があり、私たちまちづくりなみえも協力をさせていただくことになりました。

ところが、実際には避難先を含め多町内外から多くの方が、各々の掃除用具を手に集合場所に来てくださったのです。なかには新たに酒田に越してこられた方や、行政区の垣根を越えてお隣の藤橋から来てくださった方の姿もありました。

大越区長からは、「こんなにたくさんの方に集まっていただきありがとうございます」との謝辞と共に、「当初は集会所の中だけを掃除するはずでしたが、これだけの人が来てくれたので、熊野神社社殿や境内の落ち葉や枝もきれいにしたいと思います」と、予定より範囲を広げて、清掃開始!

1時間半ほど掃除をした後には、集会所の内部も熊野神社の境内もすっかりきれいになりました。

以前のように境内で盆踊りを開催することは、まだ難しいのかもしれません。けれど、集会所の中で注連縄(しめなわ)を編むことはできるようになりました。お囃子(はやし)の練習もできます。これからどんなふうにこの場所が使われていくのか楽しみです。

「集会所に集まろう」-地域活動復活の兆しを感じています。