2018年12月4日
地域づくり支援専門員の東山です。
比較的温暖だと言われる浜通りですが、朝晩は冷え込みが強くなり、冬の装いが必要な時期になってきました。
さて、晴天に恵まれた11月24日~25日、十日市が盛大に開催されました。
十日市は浪江町でもっとも伝統あるお祭りで、明治6年、当時は出羽権現(でわごんげん)、現在の浪江神社の例大祭として、浪江町権現堂地区に市(いち)を立てたことが始まりだそうです。この権現堂地区には1区~8区の行政区があり、十日市には子どもたちがそれぞれの行政区が持っている子ども神輿を担いで町内を練り歩いていたそうです。残念ながら震災後、子どもたちが担ぐということはできていませんが、先日、集会所に保管されていた子ども神輿を権現堂1区の佐藤区長や地域の方々とともにお手入れをしました。
昨年から十日市が浪江町内に戻り、3区の子ども神輿が会場のスポーツセンターで奉納されました。今年は弊団体が運営する駅前かふぇもんぺるんでも展示し、お神輿を見ていただく機会を設けました。また、お神輿とともに、昭和30年前後の十日市の様子がわかる写真も一緒に展示し、かつての賑わいも感じていただけたかと思います。
町民の方にお話をお聞ききすると、「子どもの頃、十日市を心待ちにしていた」という声や子ども神輿とともにうつされた昭和25年の白黒の集合写真を見て、「あっ!これうちの父だ」という驚きの声、また、「十日市でしか買えないものがあった」「サーカス団が来ていたこともあった」など、十日市の様子を教えていただきました。子ども神輿を囲みながら、地域がつながる取り組みを考えるひと時となりました。
2018年12月1日
こんにちは、地域づくり支援員の石橋です。
浪江町恒例、秋の収穫祭「十日市祭」が11月24,25日に開催されました。
両日とも天候に恵まれ開催場所のスポーツセンター付近は、24日の早朝から準備に勤しむ方々やお祭りが待ちきれない人々で賑わいを見せていました。
会場へ行ってみると、たくさんのお客様。
屋外ブースの目玉は何といっても「大せとまつり」でしょう。浪江町の伝統工芸品「大堀相馬焼」の窯元7軒が出店しました。かつて大堀地区で軒を連ねていた窯元さんたちですが、今はそれぞれの避難先で浪江の伝統を守り続けています。そんな窯元さん達のうちの7軒が、震災後初めて浪江の地で十日市に合わせてテントを並べるとあって、楽しみにしていた方も多かったようです。
「うう~ん、渋い」
「その渋さがいいのよ」
「こっちは可愛い!」
などと店先を占める人々の楽しそうな声が聞こえたり、商品をお買い上げくださったお客様の顔を見た窯元さんが思わず
「あれ、〇〇さんじゃねえぇの!?」
「おう、久しぶりだな!元気そうで、いがった(よかった)!」
と再会を喜ぶ笑顔があちこちで見られました。
屋内外のステージでは町の伝統芸能にお笑いライブ、地元サークルのダンス披露など趣向を凝らした舞台が展開される中、とても心温まる一団がありました。「小中学校の校歌を歌う会」です。
同窓生である限り10代であろうと70代であろうと共通の校歌を持っているのですよね。特に小学校で6年間も歌い続ける校歌は、いつの間にか体の奥に沁みついていて絶対に忘れられないものなのだと痛感しました。最後に歌ったのはもう数十年も前のことはずなのに、「仰げば西の~♪」と聞いた途端に、「山青く~♪」と口ずさんでいた方も見受けられました。校歌も「つながり」の一つなのですね。
もちろん十日市に参加しているのは団体やサークルだけではありません。
こちらのお二人は町に帰還されて以降、浪江に美しい景色を作ろうとご尽力されてきたご夫婦です。
ご自宅の周りだけでなく、今は使われていない思い出の学び舎の校庭に花を植える活動を通して、地域とのつながりを築いています。
そんなお二人は避難中に木工と出会い故郷浪江を想いながら作品作りに没頭したそうで、
「福が来る浪江」との想いを込めて「にじ・福浪(にじふくろう)」と名付けた鮮やかなキャラクターを生み出しました。
十日市ブースの一角を借りて出店したところ好評を博したようです。
以前とは姿を変えた十日市祭。その変化に「新生」浪江町を垣間見たような気がしました。
2018年8月21日
地域づくり支援専門員の東山です。
あっという間にお盆が過ぎましたが、みなさんはどのようにお過ごしになりましたか。
さて、私たちは地域コミュニティの再構築をお手伝いすることを念頭に、日々活動しています。
戸別訪問で町民の方のご意見を伺いながらコミュニティをつくる道を探ったり、行政区の会合などに伺い、地域の課題解決に向けた取組みをサポートできればと活動を進めています。
現在、各行政区の区長さんや町民の皆さんのお話を聴かせていただいていますが
震災後、町民の方々同士が顔を合わせる機会が極端に少なくなっていることもお聴きしております。
このような中、多くの方から
「お墓参りの時期には浪江に来る方が多い」といったお声を聴きました。
私たちは、町民の方々が顔を合わせ、ゆっくり話しができる場を設けられないかと
お盆の期間中(8月13日・14日の2日間)請戸地区にある町営大平山霊園にて、
お墓参りに来られる方々に向けて休憩所を用意し、冷たい飲み物を提供することを計画しました。
沿岸部が一望できる大平山霊園のコミュニティ広場にタープ(日除け)を張りました。
始まる前は、立ち寄って頂けるだろうかという不安もありました。
しかし、両日とも100名程度の方にお立ち寄り頂きました。
休憩して頂きながら、私たちが皆さんの色々なお話しを聴ける場でもありましたが、
今回の取り組みから、かつてご近所だった方々との再会と談笑の場になったり、
おじいちゃん、おばあちゃんからお孫さんに請戸の歴史や風習、津波のお話をされたりするなど
『ふるさとを感じ、ふるさとを伝える場』となったようです。
町内のコミュニティの再生へ向けては課題多いことは確かですが、
「つながる場」をつくっていくことが大切だと改めて実感しました。
私たちは今後もこのような取り組みを続けていきたいと思います。
2018年8月18日
地域づくり支援専門員の引地です。
毎月第2土曜日・日曜日は『まるしぇの日』
浪江町仮設商店街まち・なみ・まるしぇの特設会場ではアーティストのステージがおこなわれ、野菜販売などの様々なブースも並びます。
8月は夏祭りと同時開催!
私たち地域づくり支援専門員のブースでは、来場する町民の皆さんから
『浪江の○○が好き!』の声を聴かせてもらいたいと
ひまわりの絵を施したボードを、皆さんからのメッセージで埋めていきました。
ひまわりの花の中心を、皆さんの「〇〇が好き!」で貼りこんでいきました。
2日間で80名ほどの皆さんから書き込んでもらい、たくさんのひまわりが元気いっぱいに花を咲かせました!
ブースでメッセージを書いてもらい、また、直接お話しして気付いたことですが、
○○が好きの“○○”がバリエーションに富んでいるなぁと思いました。
例えば、
「浪江の春(桜)と秋が好き」
「請戸の海岸が好き」「高瀬川の景色が好き」
「水がおいしい」「お店」
「浪江の鮭」「梨」
「人柄」「人のやさしさ」などなど…
人・物・コト・場所、様々な魅力がつまっている町だなぁと再発見の2日間でした。
2018年8月4日
地域づくり支援専門員の引地です。
珍しく雨の野馬追となった7月28日、浪江町中央公園で行われた標葉郷の出陣式。
私は街中に旗指物が掲げられた7月初旬から、ワクワクしながらこの日を待ちわびていました。
朝8時。中央公園に集まった町民の中には家族連れも多く、集合している騎馬武者の皆さんを観て「すごい!」と目を輝かせている子どもたちが印象的でした。
(中央公園から出陣、8年ぶりに町内でお行列です)
出陣後、標葉郷の騎馬たちは南相馬市原町区の雲雀ヶ原祭場地に向かいます。
騎馬武者の皆さんに、感想を聞いてみました。
標葉郷の郷大将を務める吉田栄光さんです。
初日を終えたところで少しだけお話を伺うことができました。
吉田さんは高校1年の初陣から、35年以上出陣されているそうです。
8年ぶりの浪江本陣からの出陣を振り返り、力強く一言。
『感慨深い!』
御使番の木村奈々美さん、中学1年生です。
奈々美さんは小学3年から練習を始め、小学4年で避難先から初陣を果たしました。
ふるさと浪江からは初めての出陣です。
馬上から久しぶりに浪江の町を見ると「幼いころの記憶がよみがえってきた。いつかはみんな元気に暮らせる町になったらいいな」と感じたそうです。
初日を終え、あらためて『騎馬武者の皆さん・観覧の皆さん・支えている関係者の皆さん・相双地方』がひとつになる日なんだなあと感じました。