なみえの今

南津島下行政区、集会所など

2022年9月6日

こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。

浪江町の帰還困難区域でも来春、5年近くに渡って整備が進められている特定復興再生拠点3カ所(室原、末森、津島)で避難指示が解除されます。住民の帰還に向け9月1日からは準備宿泊も始まっていますが、避難先で暮らしが固まったことなどで、寝泊まりしながら帰還の準備を進める方はまだ数えるほどしかいない状況です。
津島地区でも避難指示が解除されるエリアは全体の面積の1.6パーセント程度で、まだまだ手つかずの地域がほとんどというのが現状です。

「集会所の様子を一度見に行くか」ということで南津島下行政区の三瓶禎信区長にお声がけいただき、南下コミュニティセンター*を視察してきました。

(*南下-みなみしも-は南津島下の略称)

特定復興再生拠点のエリア外に位置しますが、山火事など災害時の避難場所等として集会所も来春には避難指示が解除されます。いわゆる「点拠点」と呼ばれる、部分的な避難解除です。そのため既に一通りの除染は済んでいるということでした。

南津島下行政区では長らく沢先(澤先)集会所が利用されていましたが、老朽化し、平成21年に新たな集会所として南下コミュニティセンターが完成しました。10年以上の年月が経っていますが、ほとんど利用されないままだったことで、まだまだ新しいというのが第一印象です。

▲沢先集会所は間もなく解体される予定です
▲沢先集会所横の石碑には、この地が開拓地であることなどが示されていました


しかし一歩室内に入ってみると、避難所として活用された状態で時が止まった、原発事故後の手つかずのままの状態でした。
当時持ち込まれた新聞や、使用したお皿や調味料などはそのままになっていました。

ホワイトボードに書かれた呼びかけ文からも、切実な様子がイメージできます。

▲避難所として活用された時のままのホワイトボード
▲放射性物質への対策で、玄関に貼られた呼びかけの紙


「特定復興再生拠点の解除にともない、この集会所が点拠点として避難指示解除されるのであれば、何か集まりなどで交流したい」前区長の時からたびたび、ご相談を受けていました。

まずは井戸の復旧や、大掛かりな掃除などが必須のようです。

原発事故前に地域活動が行われていた際は、反省会と名売って交流会を毎回開いていたそうで「まずは集まれるようになりたいな」などと三瓶区長は話していました。

沢先集会所もこの秋には解体される予定だということです。

避難しながらも生まれ育って親しんだ土地で、ほっとしながら集まる場をどうつくれるか。区長といっしょに今後も考えていきたいと思います。


▲コミュニティセンター向かいの古い消防屯所は、屋根が抜け落ち床も腐ってしまいました